2001〜2008年放送
tamako☆がテレビ局のセットデザイナーになって2年目。
まだ駆け出しのデザイナーが初めて「独り立ち」させてもらったのがこの番組でした。
「毎週3時間生放送」という前代未聞のバラエティ番組。
始まるのは真夜中1:14、終わるのは朝方4:14。
番組コンセプトは「生放送でくだらないことを真剣にやる」
だから内容は毎週変わるし、メインMCだって毎週変わる!
こんな面白い番組のセットデザインを担当させてもらえるなんて
嬉しい反面、さあ、セットデザインはどう考えましょう・・・?
「深夜ならではの自由なトーク」「なにするかわからない面白さ」
デザインの方向性は無限にあるように思いました。
悩みつつ、何パターンもプランを出す中で
局内の「マーケティング部」に相談したところ、
「この時間の視聴者は、”テレビ大好き、いろんな番組を見ていて、
ものすごくザッピングしながら見ている人”。
だからセットデザインは ”斬新” ”今までにないもの”
”ザッピングで止まるもの” が有効」
というアドバイスをもらいます。
そこからデザインイメージを広げていき、
生まれたのがこの「真っ黄色」のセット。
2001年当時、テレビの世界ではまだ
「テレビ画面では、真っ白は ”飛んで” しまうから、
白を使いたかったら、
ごく薄いグレー(グレーの2番、ということで「テレツー」なんて呼ばれていました)を使うこと。
原色を使うなんてもってのほか。」
と言われていました。
そこであえての「真っ黄色」です。
当時、テレビセットでは「誰も使ってない色」だったのです。
この番組のファンになってくれるだろう視聴者の方には、
きっと ”斬新” で ”刺さる” セットが出来ると思いました。
「黄色は出演者さんの顔色を汚く見せる」
「テレビを見ていて”目が痛い”感じになる」
という周りからの心配もありましたが、
テレビ創世記からまもなく50年、
当時からの常識が2001年の常識だなんてことがあるわけない、
この番組にふさわしいのは「常識を壊すセット」だと思ったのです。
はたして。
番組開始するやいなや
「虎ノ門」はテレビ関係者、コアなテレビ好きの皆さんの間で
ものすごい話題の番組となりました。
真っ黄色のセットは、出演者さんの
「スタジオに入ると目が痛いんだよ、この番組!」
というネタになりました。
技術スタッフの力もあり、
心配された顔のくすみもありませんでした。
真夜中に、ただただ明るく(セットも内容も。)
くだらないことで大笑いできる番組は
とてもとても愛されたのです。
そして、真っ黄色セットをデザインしたtamako☆は
局内のディレクターの皆さんから
沢山のオファーをいただくようになりました。
「新しいことをしたい」ディレクターさんの思い。
それに答えるtamako☆のセットデザインのベースにあるのは
「見たことのない新しいもの」
これは今もtamako☆がデザインする時の基本になっています。
「虎ノ門」のセットは
tamako☆のデザインアイデンティティを確立してくれた、
tamako☆にとって、最も大切なテレビセットなのです。