2001
12
Dec

テレビ朝日「虎ノ門」2001〜2009

 

tamako☆がテレビ局のセットデザイナーになって2年目。

まだ駆け出しのデザイナーが初めて「独り立ち」させてもらったのがこの番組でした。

 

「毎週3時間生放送」という前代未聞のバラエティ番組。

始まるのは真夜中1:14、終わるのは朝方4:14。

番組コンセプトは「生放送でくだらないことを真剣にやる」

だから内容は毎週変わるし、メインMCだって毎週変わる!

 

こんな面白い番組のセットデザインを担当させてもらえるなんて

嬉しい反面、さあ、セットデザインはどう考えましょう・・・?

 

「深夜ならではの自由なトーク」「なにするかわからない面白さ」

デザインの方向性は無限にあるように思いました。

 

悩みつつ、何パターンもプランを出す中で

局内の「マーケティング部」に相談したところ、

「この時間の視聴者は、”テレビ大好き、いろんな番組を見ていて、

ものすごくザッピングしながら見ている人”。

だからセットデザインは ”斬新”  ”今までにないもの”

”ザッピングで止まるもの” が有効」

というアドバイスをもらいます。

 

そこからデザインイメージを広げていき、

生まれたのがこの「真っ黄色」のセット。

 

2001年当時、テレビの世界ではまだ

「テレビ画面では、真っ白は ”飛んで” しまうから、

白を使いたかったら、

ごく薄いグレー(グレーの2番、ということで「テレツー」なんて呼ばれていました)を使うこと。

原色を使うなんてもってのほか。」

と言われていました。

 

そこであえての「真っ黄色」です。

当時、テレビセットでは「誰も使ってない色」だったのです。

この番組のファンになってくれるだろう視聴者の方には、

きっと ”斬新” で ”刺さる” セットが出来ると思いました。

 

「黄色は出演者さんの顔色を汚く見せる」

「テレビを見ていて”目が痛い”感じになる」

という周りからの心配もありましたが、

 

テレビ創世記からまもなく50年、

当時からの常識が2001年の常識だなんてことがあるわけない、

この番組にふさわしいのは「常識を壊すセット」だと思ったのです。

 

はたして。

番組開始するやいなや

「虎ノ門」はテレビ関係者、コアなテレビ好きの皆さんの間で

ものすごい話題の番組となりました。

 

真っ黄色のセットは、出演者さんの

「スタジオに入ると目が痛いんだよ、この番組!」

というネタになりました。

技術スタッフの力もあり、

心配された顔のくすみもありませんでした。

真夜中に、ただただ明るく(セットも内容も。)

くだらないことで大笑いできる番組は

とてもとても愛されたのです。

 

 

そして、真っ黄色セットをデザインしたtamako☆は

局内のディレクターの皆さんから

沢山のオファーをいただくようになりました。

 

「新しいことをしたい」ディレクターさんの思い。

それに答えるtamako☆のセットデザインのベースにあるのは

「見たことのない新しいもの」

 

これは今もtamako☆がデザインする時の基本になっています。

 

 

「虎ノ門」のセットは

tamako☆のデザインアイデンティティを確立してくれた、

tamako☆にとって、最も大切なテレビセットなのです。